2011年11月6日日曜日

正統「芋煮会」


2011年11月05日(土)浜北大橋下西岸にて
佐原伸一氏収蔵の羽釜を使用

<そもそも芋煮会とは>

 私が子供の頃(昭和30年代~40年代)には、稲刈りが終わった頃から、日曜日はとたんに大忙がしになります。それは「芋煮会」が始まるからです。まず、自分の町内の子供会、学校のクラスで、クラブで、ボーイスカウト、さらに小学校の頃ですと親の関係する芋煮会にも出る事になります。当時は当然土曜日も学校がありますから、日曜日しかありません。つまり、秋になるとほとんど毎週が「芋煮会」という事になるわけです。普段はあまり言葉も交わさない女子がかいがいしく動き回っているのをみて、なんかいいなぁ~と思ったりーーー、野外ならではの多くの新発見?をしたものです。 18歳で故郷をはなれてから、久しく芋煮会の醍醐味を忘れておりましたが、ヤマハ(当時は日本楽器製造株式会社)の研究室に配属された時、山形出身のメンバー、当時東北大学の研究室に通っていたメンバーの方など多数の絶大な?支持を受け、「芋煮会」が発足しました。ここ遠州地方では、恐らく最初にこの「正統芋煮会」をやったのは私だ!と私はひそかに思ってます。それは今を去ることほぼ四半世紀前、昭和49年の秋のことでした。私の出身地は山形県寒河江市(サガエ)ですが、少なくとも、山形市を中心とした村山地方、特に寒河江川(さがえがわ)、山形市の馬見ヶ崎川(まみがさきがわ)周辺で、昭和30年代中期に行なわれた形式をもって「正統芋煮会」と呼ぶことにしております。

 それでは「正統芋煮会」の概要を以下にご紹介します。

<材料>
  里芋:(皮をむいたもの、小さくねっとりとしたものを最上とする)
      大きい場合には包丁を入れ一口大に切っておく事。
  牛肉:(割と油の多いバラ肉が味が出てよろしい)霜降りの良質な
      物では野趣に乏しいし、すき焼き風になってはいけない!)
  長ねぎ:(間違ってもタマネギではない!)斜めに切り、割と多め
  こんにゃく:(関東地方で多く見られる黒こんにゃくではなく
         あくまで白?透明な白こんにゃくが正しい、なければ
         黒コンニャクで代用も可。但し手でちぎって入れる事)
    注)このほか、豆腐他いろんな物を入れるという流派もあるが
      あくまでも「里芋」と「牛のばら肉」を中心としたい!

<用意する量>
    これはあまり固い事は言わない。どんぶり一杯に対し
    里芋中粒で5個、肉片が3枚、ちぎったコンニャク小が
    2切れ、長ねぎが3切れといったところで「汁だく」が
    基本である。

<味付け>
    醤油ベースが正しい。昨今、味噌味なる「分派」が出てきたと
    聞くが、誠に嘆かわしい限りである。

<制作手順>
    まず、ばら肉を最初に軽く炒め、砂糖、醤油、酒で味を軽く
    つけた後、「お湯」を入れ、続いて「里芋」をコンニャクを
    入れ、一端沸騰したところで味を調え、その後長ねぎを入れる。
    味付けは好みだが、やや濃い目がよろしい。なぜならば、これを
    さかなに酒、ビールを「飲む」のが主目的であるから!
    一寸しょっぱくなり過ぎたと思ったら「味の素」を入れると
    塩辛さが軽減される。(これは正統ではないが緊急避難措置)

<食べ方>
    あつあつを「どんぶり」に盛り、ふうふう言いながら食べる、
    ビールを飲む、おかわりをする、コップ酒を飲む、おかわりをする。
    これだけです。

注)細かいことは言わない!野外で作り食べ、飲み、語るのが目的なのだから。
  食器はやはり「どんぶり」である。女性といえども小さな可愛い「うつわ」
  で食べてもうまくない!あくまでも野外のすがすがしい空気の中で
  日頃の抑圧から開放される事が目的なのだから!!

<開催場所>
    河原である!本来山野で行うのは「正統芋煮会」とは呼ばない!
    残念ながらこれは飯盒炊爨の亜流と呼ばざるを得ない!
    山奥の清流もよし、河口近くのゆったりした流れもよし。
    但し、残り物を川に流したりしない事。環境にやさしい
      「正統芋煮会」の伝統を守るため是非お守り頂きたい。

かまど: これは石組みで行う。ブロックでも可。
なべ :本来は鉄なべが正統だが、いまやこれを入手するには民芸骨董屋に
    走ってもなかなか入手が難しいのでアルマイト?これも古いか?の
    なべでも良し、とする。我々の仲間で会津喜多方出身の佐原氏所有の
    羽釜(はがま)が毎度大活躍をしている。
    では秋の一日をお楽しみあれ!


<芋煮会関連リンク>
 
○ 山形県中山町のホームページより「芋煮会大図鑑」
http://www.town.nakayama.yamagata.jp/kankoukyoukai/taberu/imoni.html




○ 正統「芋煮会」2011年11月05日(土)の記録

天竜川西岸浜北大橋下西岸にて。
天候:曇り、晩秋の穏やかな日和



羽釜に合わせたカマドでお湯を沸かす佐原氏。燃料は台風15号の残した流木を使用。レシピと調理についてはすでに紹介したので、ここでは完成品の紹介のみ。


メンバーの健康を考え今年は味付けをかなり薄味にしてみましたが、好評でした。
今年は週末に天気が悪くなかなかスケジュールが合わず多くの参加者を集められませんでしたので、芋煮の量もそこそこ少なめに。


浜北大橋の西岸たもとから下流を望む。





○ 正統「芋煮会」1999年11月3日()の記録


天竜川西岸浜北大橋西岸やや下流にて。
天候:穏やかな晴れ





○ 正統「芋煮会」1997年10月18日(土)の記録

天竜川西岸浜北大橋下西岸にて。
天候:晴れ、やや風つよし。

  

まずはかまどを作って火をおこす。




なべは空焚きしないように気をつける。


こっちは会津地方の芋煮の実験用「おかま」です。これは喜多方出身の佐原伸一氏収蔵の羽釜(はがま)です。会津地方は味噌仕立てらしいのでこの時2種類作ってみました。
味噌仕立てに里いもとなるとなんとなく「豚汁」のイメージだ出てきてしまいます。ましてやゴボウでも入れようものならーーー。


野菜を切って準備しておく。因みに、「正統芋煮」には白菜は入れない。場合によってはキノコ類も入れるのもまた一興か。



「正統」の方が煮えてきたようです。



早々と盛り付けを開始する保存会長。



懐かしの「七輪」まで登場。



これは付録の干物、ほっけ?
まあ、アウトドア派としては、野外で何かを焼いて食うというのは基本ですからね。



すでに出来上がりつつある人も?



完璧に動きが鈍くなってきたようです。
秋の日のひとときを「芋煮会」で楽しいんでみませんか?




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